That Instrument

先日アップした曲はたくさんの方々に聴いていただけているみたい。嬉しい。聴いて(見て?)くれた皆さんに感謝感謝。

曲をアップするためにムービーを作成する際、イラストをお借りしたkomさんのご両親がTenori-onの岩井俊雄さんと同窓生だったというのをkomさんのblogで読んでびっくり。

昔坂本龍一さんのコンサートで岩井俊雄さんとのコラボレーションが行われたことがあって、そのとき見に行ってたのだけど、そのなかの「音楽のチェス」がとてもとても面白そうで、やってみたいなと思っていました。Tenori-onが発表された時に、最初に思ったのは、あのチェスみたいなのができるという事だったんですよね。

わたしはTenori-onを電車の中などでピコピコやっているのだけど、見た目に怪しいのかなかなか席の隣が埋まらなかったりします。

ピコピコ遊ぶのには楽しいTenori-onも、楽器としてはちょっと困ったところがあって、まず音のレベル(音量)がとても小さい。ラインではまず小さすぎてマイクプリ通してもなんとか。あとは、シンクロがいまいちよくないところ。よれます。わたしのセッティングが悪いんでしょうかね。ラインアウトがついてればよかったのだけど。

先日の曲でもTenori-onを使っていて、MacでシーケンサーをループさせておいてTenori-onでリアルタイムでシーケンスをポチポチ(これがTenori-onの醍醐味ですね)していって作った後、シーケンサーで打ち直し&Nordで音をエディット。

まだまだ使いこなしてるとは言いがたいのだけど、楽しい楽器です。

Tranquil Sky

ニコニコ動画に巡音ルカさんに歌ってもらったオリジナル曲「静かな空」をアップしました。みんなのうたっていうイメージです。聴いて(見て?)みてください。

ボーカロイド自体初めてなのですが、結構雰囲気が出せたのではないかと思ってるのですが、いかがでしょう。調整している時に何回も繰り返し聴いてると、何が正しいのかだんだんわからなくなってきますね。チェックにつきあってくれた相方に感謝です。

Something Like A Piano

photo by jepoirrier(flickr)

わたしにとって一番身近な楽器と言うとピアノになる。物心つく前からずっとそばにあった。今は住んでる環境から本物のピアノを所有するのは難しいので(所有するだけなら可能だろうけど)、電子ピアノで代用している。

電子ピアノも昔からするとずいぶん良くなったのだけど、やはりピアノそっくりとはいかない。個人的には重い鍵盤が好きなのだけど、最近のは軽いものが多いようだ。どうにか重いのを見つけて購入したのだけど、わたし以外からは鍵盤の評価は良くない。

鍵盤の重さは実際のピアノにもある話で、なにも電子ピアノに限った話ではない。しかし、電子ピアノにおいては、鍵盤を押し下げハンマーが上がり弦を叩き音が出る、この何気ないプロセスをきちんと再現できているものがまだないのだ。

もちろんメーカーもそんな事は分かっていて、擬似的なハンマー機構などを組み込んだ凝った鍵盤等を作ってるのだけど、そこから出てくる音とその鍵盤がいまいちちぐはぐな感じがする。例えるなら、昔よくみかけた本物の電車や飛行機の操縦部分を切り出して、見える景色はありモノの映像を流すアトラクションのような、そんな感じだ。物理的な機構と音が乖離しているような印象を受ける。

サンプリングソフトも容量がとてつもないことになってきて、音だけを聞くと、もう区別がつきにくくなっているのかもしれないが、演奏するという点をみてみると、やはりスイッチを押していると言う感が拭えない。

そんななかで、独特な方式でリアルなピアノの再現に成功しているのが、Modarttのpianoteqだ。モデリング音源ということでハンマーやら弦やらボディー等を仮想的に再現しているというのがうりだ。

正直なところ、最初は、その他のアコースティック楽器のモデリング音源のあまりよろしくない印象から、「またか」と思ったのだ。しかし、デモ版をインストールして鍵盤を押し下げたとき、その発声があまりに自然だったのでびっくりしてしまった。肉体的記憶と一致すると言ったら良いのだろうか。ダンパーペダルを使ってハーモニクスをだす事さえできる。

どこぞのメーカーのなんとかというモデルの音ではないけど、確かにピアノの音がする。ピアノを弾いているというフィードバックを感じる。もう2年以上使い続けているのだけど、すっかり手放せなくなってしまった。

そういえば、これをどこかのメーカーのキーボードに内蔵させるという話を聞いたような気がするのだけど、どうなったのだろうか。電子ピアノもメロトロンの親戚からシミュレータに変わると面白いのだけど。

Happy New Live 8

朝起きたらAbletonからLive8発表に関するメールが届いていた。待望のトラックをまとめてグループにする機能など、嬉しい機能が追加されている。

なによりもすばらしいのはついにMaxがLiveからシームレスに扱えるようになるということ。拡張インストゥールメントの用な形で販売されるのだろう。今年中に発売ということしか明らかになっていないけど、わくわくが止まらない。

Sounds of Mathmatic

最近、アナログシンセっぽいソフトシンセをプログラムしてみようといろいろとやっていた。オシレータとか、エンベロープジェネレータ(アンプ)は結構簡単なのだけど、フィルターは一筋縄では行かなかった。デジタルフィルタ自体はそれほど難しくはないのだけど、アナログシンセに使われているあれがなかなか表現できないのだ。ちゃんと周波数は削れても、レゾナンス発振のうにょーんがいい感じに出ない、とか。

世の中にはそういう事を研究している人も居るようで、結局のところ回路をシミュレートしないとだめだよねということになってるようだ。実際Moogのフィルター回路を実装するという論文をよみながら組んでみたフィルタはそういう音がする。すごいものだ。ただし計算量が単純なものに比べて膨大になってしまうのだけど。

計算量を減らすべく、いろいろと近似演算で代替するのだけど、単純に代替しただけではかなり出音に変化が出てしまった。想像以上に繊細なもののようだ。フィルターはフィードバックでエラーがかなり積み上がっていってしまうらしい。

浮動小数点にしてもエラーは出るわけで、気にせずに普通に組んでしまったらやはりそういう事が音に影響を及ぼすわけだ。なんだか部品の善し悪しとかという問題が計算アルゴリズムとかという話に単純にシフトしてしまうようで想像するとにやにやしてしまう。

インテルの演算器は音が固くて高音域がざらつく、AMDはパンチのある音で低音が特に良い、VIAはよくいえば温かい悪く言えばなまっている音・・・なんていうことは・・・やっぱりないよね。

Totally Recallable

しばらく、シンセサイザーに関しては、いわゆるソフトウェアシンセのみを使ってきた。その前はもちろんハードウェアのシンセを使ってきたのだけど、コンピュータの演算能力が高くなってきたのと、ソフトウェア自体がよくなってきたので音色に関して不満がなくなってきたのだ。

さらに、CPUの負荷次第という制約はあるにせよハードウェアの物理的な制限とは違って好きなパートに好きな音源を好きなだけ割り当てられるというのは魅力的だった。そして、ソングデータをロードすると音源のセットアップもすべて済んでいるという利便性も一度体験するとなかなか捨てがたいものだ。

今でもサンプラーの部分はライブラリの管理の面倒さからもソフトウェアの方が良いと思ってるし、ソフトウェアならではのシンセサイザーもあるのでソフトウェアシンセを使わなくなるということは今後ともないだろう。しかし、アナログシンセ、いやVA(ヴァーチャルアナログ)シンセというべきか、は、わたしの場合NordLead3を使うことが多くなってきた。

そのココロは何かと考えた時、ハードウェア的なインターフェイス、つまりは「つまみ」と音源の一体感なのではないかと思う。すぐに狙ったパラメータにアクセスできる、もしくは適当にいじって試行錯誤できることが良いのだろう。もちろん、ソフトウェアにしてもすべてのパラメータが一望できるのでアクセス性という面においては問題ないはずなのだけど、そこに「つまみ」があるというのが絶対的な差になっているようだ。

「つまみ」に関していろいろとフィジカルコントローラーというものが出ているのでそれを利用すればソフトウェアシンセとてフィジカルな肉体を持つことができるのだけど、どうもその汎用のコントローラとのちぐはぐさが解消できない。そういう意味では専用のコントローラをもつソフトウェアシンセはその点をクリアできるのかもしれない。

さて、ハードウェアのシンセサイザーを使うようになると、今度はソングロード時のセットアップの利便性が損なわれることになる。いわゆるトータルリコールというやつ。しかたないので別のメモにセットアップ情報を記録しておき、その都度復元している。

そういえば昔はライブラリアンなるソフトがあって、シーケンサと連携してシンセサイザーの情報を記録したものだったなと思い出して調べてみたら、GalaxyやSoundDiverは過去の人に。あとはUniSynぐらいしか生き残ってなさそうだ。それにしたってずいぶん長い間バージョンはあがってなさそうだし、Performerでしかその連携メリットは得られない。

最近ではハードウェアシンセサイザーにホストからはプラグインのように扱える連携のためのソフトがついてるものが少なくなく、しかも音声まで内部でルーティングできるようなものもあるらしい。それが普通になってきたら、確かにライブラリアン等はいらなくなってしまうかもしれない。

NordLeadにも1、2にはこういうプラグインとして振る舞うエディタがある。このメーカは3用のも近日中にリリースすると以前アナウンスしてた気がするのだが、未だにリリースされていない。ないものは作るかということで、風邪をひいてあまり頭の冴えない週末にチャレンジしてみた。

結論から言うと、AudioUnitで(VSTはSDKから面倒そうなので敬遠した)あたかもソフトウェアシンセのように振る舞いコントロール情報を外に流すだけ、必要なコントロール情報を受け取るだけというプロクシー的なものを作ることはそう難しくはなかった。しかしインターフェイスの実装がそう簡単にはいかなかった。

AppleのサンプルやXcodeの作るテンプレートではCocoa(いわばOSXのAPI)で実装ができる風で、実際AudioUnitのデバッグ用のプログラムであるAU Labでも見えるのだけど、Liveで試してみると表示されない(デフォルトのインターフェイスが表示される)。いろいろ調べた結果Carbon(いわばOS9以前のAPIとの互換のためのAPI)で組んだものしか対応していないらしい。そんな馬鹿な、と、いろいろな手持ちのプラグインを調べてみたのだけど、どれもCarbonでインターフェイスを組んでいて、Cocoaのものは皆無だということがわかった(パッケージの構成を見るだけで簡単に判断できる)。

あわよくばNordLead3のノブなんかもグラフィックで表示・・・などと考えてたのだが、その事実で一気に質実剛健の実装方針に転向した。いまさらCarbonは面倒くさい。そして件のプラグインのスクリーンショットが2つ目のイメージ。「つまみ」は本物あるでしょ、パラメータ値はシーケンサに表示されてます、というコンセプト。

とりあえず、アンドキュメンテッドな使う上でのコツはあるのだけど、問題なく使えている。ただ、インターフェイスに手をかけたくないという事から、MIDI Port上のどこにNordLeadがあるかが決めうちになってるという点がソフトウェアとしては最大の問題かもしれない。つまり我が家の環境以外では正しく動作しない可能性が高いという事だ。

来年にはOSXの次バージョンSnow Leopardが出る。APIのCocoa化(みなさん、CarbonをやめてCocoaを使いましょうね、という事)が進むらしい。AudioUnitのインターフェイスのCocoa対応も進むだろう。その時には対応を考えるかもしれない。

Between Lines

わたしが曲を書くときに五線紙が欠かせない。ちゃんとしたスコアを書くことは少ないのだけど、メモや一部分のアレンジなどを書き留めている。一曲完成するとそういう五線紙がたくさん出来るのでそれをファイルにとじる。

欠かせないものなのだけど、用紙のジャンルとしてはいまいちマイナーなようでまず選べる種類が少ない。そのうえ、この間まとめてストックを補充しようと楽器屋でいつも使ってるものを注文したら絶版になっていて手に入らないと言う。しかもこれは初めてではない。なくなってしまったらまた気に入るものを探しにいかないといけない。

五本線が引いてあればどれでも良いかと言うと、やはりそういうことはなく、紙質だの線の間隔だの、用紙の大きさだのといろいろと気になるものだ。

 

携帯できるタイプの五線紙はさらに選択肢が狭まる。これはモールスキンの五線紙タイプ。市販のものの中では一番好きだ。硬い表紙や紙質は良いのだけど、ノートの向きが横ならもっと良かった。用紙のサイズが小さくなると五線の間隔も狭まるのが多いのだけど、それはとても使い辛い。モールスキンのはそういう事がないのがとても良い。

 

そして、これが自作のもの。無印良品のダブルリングノートパッドを買って来てばらし、レザープリンタでせっせと印刷した。苦労はしたがとてもいい出来だと思う(手前味噌だけど)。しかし残念な事に、元となるノートが、これまた既に絶版なのだけど。無印でこういう五線紙を出してくれないだろうか。多分わたしは箱買いすると思う。

In the beginning was the word

と、いうか、徹頭徹尾言葉である。わたしの場合。何がと言う事になるのだけど、その言葉と言うのは歌詞なのだ。これが完成しないためにぐずぐずと眠っている曲が多いのではないかと思うようになって来た。

だったら歌ものは作らなければ良いと言う事になるのだけど、もちろんそうでない曲も作るが着想からやはり声が入るかなとなると歌詞が必要だ。ヴォカリーズにすればいいという話もあるが、母音だけだとやはり寂しい。「らんらん」だけというのも、少々頂けない。それが合ってれば問題ないのだけど。

以前は言葉より前に歌ってもらうと言うハードルが高かった。誰にと言う問題もあるし、どこでと言う問題もあった。前者は最近では相方や友人など、少々お願いできるつてが出来て来たし、後者も自宅でなんとか録れるようになった。またボーカロイドなんてのも出て来て、そのままだと「ん?」でも、使いこなしてる人のを聞いてるとそれはそれでありかもと思う事がある。純粋技術的な問題は時間が解決してくれるだろうし。

歌ものを作るハードルが下がってくると問題になるのがやはり言葉なんじゃないかと思う。機械が詩を書けるようになるのは当分望めないだろう(そういえばソフトウェア歌声が入るにしても情感をもって歌い上げてくれる事を望むのも無理だな。声が使えると言うレベルではある)。自動生成した韻だけが合ってる歌詞ってのはどうだろう。いまのボーカロイドの声以上に違和感があるだろうか。それはそれでありなのだろうか。

結局自分で考えるしかないのでいろいろとひねり出しているのだけど、出てくる単語やフレーズがどことなくいつも同じなのだ。代わり映えしないなと思っているとすぐに事実上お蔵入りになりかけている。難しい。