我が家には防音室がある。もともと部屋を探す条件として音が出せる事というのがあり、幸いにしてそういう物件を見つける事ができた。練習のためや、作曲のため、時には一人になりたいときに籠っている。友人が訪れて歌のデモ録りをしていたりもする。
どうやってそういう物件を探すのかというと、それ専門に扱っている不動産屋さんがあるのだ。世の中ニーズがあるところに商売ありといったところか。音が出せる物件を借りたければ専門に扱っている業者に言った方が一般の業者よりは多分見つかるはずだ。
音を出せる物件といってもいろんな種類があって、簡易な防音程度で建物丸ごと音楽家(含む卵)が住んでいるので音が聞こえてきてもお互い様でしょ、といったものから、ちゃんと防音工事がされていて24時間音が出せますよというものまである。多いのは断然前者のようだ。
ワンルームも多いようだ。主に音大生の下宿向けに。すごいのになると一棟まるごとファミリータイプの間取りの防音室付きの分譲マンションで、地下にホールがついてると言った物もあるらしい上に、即日完売の勢いで売れるそうだ。
いろいろ見せてもらった部屋の間取りの中で印象的だったのは、部屋の中央にアビテックス(ヤマハの組み立て式防音室)が設置されていて、以上というものだ。他に部屋はなし。中庭ならぬ中防音室、みたいな。いくらなんでもあんまりな感じがする。
そういえばアビテックスも考えたのだけど、不動産屋さんにきいてみるとあれは重量物ということになってなかなか二階以上の設置は難しいそうだ。あとから部屋の賃貸契約書をみてみたら、確かに重量物は持ち込んではいけないと書いてあったので、そういうのはあるのかもしれない。
不動産屋さんで度々「高い音は上に行きますから」という不思議なフレーズを耳にした。音は放射状に広がっていくのにどうしてなのだろう。低音となると剛性の高いところを伝わって不思議な伝播をしそうだけど。
防音もグレードがあって、ピアノ、弦楽器、木管楽器、声(歌)、金管楽器、打楽器の順で要求されるグレードがあがるらしい。JISでも遮音等級というものが規定されているようだ。
我が家の場合、金管楽器までOKといわれたのだけど、実際のところ入り口の二重扉のガラス越しに大声でなく会話ができた。そんな物かもしれない。だけど、生活の中に気兼ねなく音楽ができる空間があるというのはとても楽しいものである。