Something Like A Piano

photo by jepoirrier(flickr)

わたしにとって一番身近な楽器と言うとピアノになる。物心つく前からずっとそばにあった。今は住んでる環境から本物のピアノを所有するのは難しいので(所有するだけなら可能だろうけど)、電子ピアノで代用している。

電子ピアノも昔からするとずいぶん良くなったのだけど、やはりピアノそっくりとはいかない。個人的には重い鍵盤が好きなのだけど、最近のは軽いものが多いようだ。どうにか重いのを見つけて購入したのだけど、わたし以外からは鍵盤の評価は良くない。

鍵盤の重さは実際のピアノにもある話で、なにも電子ピアノに限った話ではない。しかし、電子ピアノにおいては、鍵盤を押し下げハンマーが上がり弦を叩き音が出る、この何気ないプロセスをきちんと再現できているものがまだないのだ。

もちろんメーカーもそんな事は分かっていて、擬似的なハンマー機構などを組み込んだ凝った鍵盤等を作ってるのだけど、そこから出てくる音とその鍵盤がいまいちちぐはぐな感じがする。例えるなら、昔よくみかけた本物の電車や飛行機の操縦部分を切り出して、見える景色はありモノの映像を流すアトラクションのような、そんな感じだ。物理的な機構と音が乖離しているような印象を受ける。

サンプリングソフトも容量がとてつもないことになってきて、音だけを聞くと、もう区別がつきにくくなっているのかもしれないが、演奏するという点をみてみると、やはりスイッチを押していると言う感が拭えない。

そんななかで、独特な方式でリアルなピアノの再現に成功しているのが、Modarttのpianoteqだ。モデリング音源ということでハンマーやら弦やらボディー等を仮想的に再現しているというのがうりだ。

正直なところ、最初は、その他のアコースティック楽器のモデリング音源のあまりよろしくない印象から、「またか」と思ったのだ。しかし、デモ版をインストールして鍵盤を押し下げたとき、その発声があまりに自然だったのでびっくりしてしまった。肉体的記憶と一致すると言ったら良いのだろうか。ダンパーペダルを使ってハーモニクスをだす事さえできる。

どこぞのメーカーのなんとかというモデルの音ではないけど、確かにピアノの音がする。ピアノを弾いているというフィードバックを感じる。もう2年以上使い続けているのだけど、すっかり手放せなくなってしまった。

そういえば、これをどこかのメーカーのキーボードに内蔵させるという話を聞いたような気がするのだけど、どうなったのだろうか。電子ピアノもメロトロンの親戚からシミュレータに変わると面白いのだけど。