Totally Good

iPhoneの日本発売が発表された。事前の下馬評通り(?)ソフトバンクだった。プレス発表に「独占」の文字がなかった事から、他のキャリアからも出るのではというのがもっぱらの噂だ。

iPhone発売のニュースは一応大手メディアで取り上げられたが、それが欲しい人と、いわゆる一般の人々の間では相当な温度差があるような気がする。ソフトバンクの株価も発表前までじりじりと下げていて、発表によりややご祝儀的にあがったが、すぐに以前の水準に戻ってしまった。水泳の日本代表がスピード社の水着の使用を認められたという報道の後の、日本でスピード社の製品をとりあつかうゴールドウィンがストップ高に上昇したのと比べるといまいち勢いに欠ける感じがする。そんな単純な物ではないのだろうが、世間一般に見るiPhoneの存在は(まだ)その程度なのではないかと思う。

わたしはというと、もちろん購入する。買うか買わないかという選択肢ではなく、白か黒かという選択肢しか存在しない。iPhoneであるという理由も大きいのだけど、今使っている端末にとてもとても不満があるというのも理由としては大きい。

わたしの使っている携帯電話のキャリアはソフトバンクなので機種変更という事になる。そのソフトバンクの社内でもまだ混乱しているらしく、予約を受け付けている店舗と、詳細が不明なので判明後連絡するという店舗に分かれているようだ。

さて、そんなタイミングに合わせてHTCの端末がイーモバイルとドコモより出る事が発表された。イーモバイルの発表会では「iPhoneの独壇場は終わった」などと鼻息も荒い。

しかし、該当のHTCの端末が使用しているQualcommのチップセット(MSM7000シリーズ)は、現在のところWindows Mobile用のDirect3Dドライバを供給していないようだ。Brew用にはOpenGLESドライバなどを提供しているのだが。NVIDIAのチップセットを採用したEM-1も同じくアクセラレーションドライバが提供されていないようなので、Windows Mobile側に何か問題があるのかもしれない。

HTC端末の問題は、実は見栄えのいいリッチなインターフェイスは一部アプリケーションだけで、その他は従前のさえないWindows Mobileインターフェイスのままだということだ。さながらVista以前のそれぞれのメーカーのお化粧ランチャーをのせたPCのような状態だ。発表の場でもInternet Explorer Mobileの画面は露出していない。おそらく、端末の顔になるアプリは直接チップのグラフィックアクセラレーションを叩いているのだろう。それ以外のアプリに同じリッチさを求めるのは酷だ。

ユーザーインターフェイスの統一感はドコモより出ているLGのPRADA Phoneの方がずっとよくできている。ただしこちらはアプリの追加などはできないなど、スマートフォンとは呼び難いので比較対象としては適切ではない。

タッチパネル搭載機種というだけではなく、トータルとしてのユーザーインターフェイスの完成度としてはまだまだiPhoneには追いつけていない。本格的にiPhoneのライバルが登場するのはGoogle Android搭載機種やWindows Mobile 7搭載機種の発売を待たないといけないだろう。それは半年後か、一年後か。どちらにせよ周回遅れは否めない。

Appleはライバルの目がユーザーインターフェイスに向いているうちに着実にユーザーへの浸透を狙ってくるだろう。気がついたときにはiPhoneというより、その系が提供するサービスが手放せなくなっているかもしれない。